買掛債務の回転期間で材料仕入高から材料仕入代金支払いを計画材料仕入高を計画し,また材料代金支払期間(買掛債務の回転期間)を計画すると,仕入代金支払いが計画されます。
A社では,今期の材料仕入高と次期の計画の仕入高は,表4-4(67ページ)のとおりとします。
A社では,前述のように,買掛債務の回転期間は2.4ヵ月で,仕入代金支払いは,仕入後2.4ヵ月で支払われています。
仕入代金支払いをそのように2.4ヵ月で支払うとすると,図4-7で示されるように,今期の1月の仕入高の0.4ヵ月分と2月の仕入高の0.6ヵ月分の合計が,4月の仕入代金の支払いになります。
4月の仕入代金支払いは,つぎのようになるわけです。
1月仕入高510×0.4(月)=2042月仕入高505×0.6(月)=303合計(仕入代金支払い)507(万円)次期でも,仕入代金は2.4ヵ月で支払っていくとすると,次期の5月など,各月(上半期だけ)の仕入代金支払いは,つぎのように計画されます。
2月の仕入高505×0.4(月)=2023月の仕入高510×0.6(月)=306次期では,4月から仕入代金支払いを2.1ヵ月で支払っていくとすると,次期の仕入代金支払いは,つぎのように計画されます。
諸費用支払いの計画A社では,有払いの諸費用(減価償却費などの無払いの諸費用を除いた諸費用)の今期の実績と次期(ただし,上半期だけ)の計画は,表4-5のとおりとします。
前述のように,A社では,未払費用の回転期間は1.3ヵ月です。
諸費用は平均して1.3ヵ月で支払われているとみられます。
諸費用は1.3ヵ月で支払われるとすると,たとえば次期の4月では,図4-8で示されるように,2月の有払諸費用405万円の0.3ヵ月分と3月の有払諸費用410万円の0.7ヵ月分か支払いになります。
4月の諸費用支払いは,つぎのようになるわけです。
2月の有払諸費用405×0.3(月)=1223月の有払諸費用410×0.7(月)=287同様に,5月など,各月の諸費用支払いは,つぎのように計画されます。
一期間の諸収入と諸支出を対照表示するようにした諸表を,資金表,資金諸表といいます。
資金表にはいろいろな型のものがありますが,収入支出のとらえ方からみますと,収支表ないし収支計算書(その典型が資金繰表です),資金移動表,および資金運用表の3つがあります。
資金計画をたてるということは,要するに,次期の見積りの資金表を作成するということでもありますから,この3つの資金表について説明します。
資金繰表とはどんなものか資金繰表(資金繰計算書ともいえる)には,いろいろな型のものがあり,また考えられますが,その事例は表5-1のようです。
この資金繰表は,M工業会社(鉄鋼業)の資金繰表を整理,簡単にしたものです。
なお,資金繰表の事例では,「営業外収入」としてあったものを,営業外収益の収入とその他の収入に分けて示すことにしました(営業外収益の収入は,ふつうは金額は少ないが,経常収入で重要な収入です)。
また資金繰表では,現金売りや現金仕入れなどがある場合には,売上収入(営業収入)を現金売り,売掛金入金,受取手形期日入金に分け,また材料代(商業の場合は商品代)支払いを現金仕入れ,買掛金支払い,支払手形期日支払いに分けて示すこともあります。
この事例のように,資金繰表というのは,当年度の各月(および当年度合計)の売上収入,営業外収益の収入,借り入れなどの諸収入と,材料代,人件費支払い,その他諸費用支払い,設備代,借入金返済などの諸支出と対照表示するようにしたものです。
資金繰表は,現金出納帳(および銀行預金出納帳戸帳簿会計の場合)や,入金伝票・出金伝票(伝票会計の場合)を整理して,各月の諸収入と諸支出を計算して作成します。
これは,現金出納帳や,入金伝票・出金伝票で示される収入の額,支出の額を整理して作成する資金表で,直接法の資金表です(資金移動表という間接法の資金表にたいするもの)。
ところで,表5-1中に示されている割引手形期日入金については,伝票などでは表示されないため,[期首割引手形十当期手形割引高一期末割引手形=当期割引手形期日入金]という関係から当期手形割引高から計算する必要があるわけです。
資金繰表の見方。
一部制の資金繰表前掲の資金繰表は,収入の諸項目と支出の諸項目をそれぞれ網羅的に表示するようにしかもので,網羅的な一部制の資金繰表といえるものです。
この資金繰表をみてみますと,たとえば4月では,収入合計2,940万円,支出合計2,980万円で,40万円の支払超過ですから,現金預金を払い出して支払いにあてます。
5月では,反対に,収入合計3,030万円,支出合計2,990万円で,40万円の収入超過ですから,現金預金が40万円ふえます。
このように現金預金は,文字どおりプールの役割をするものです。
現金預金の在高には,限度がありますから,支払いの多い月には,収入を多くして,支払いができるようにしなければなりません。
たとえば6月をみてみますとレ借入金返済1,000万円があり,法人税等現金支払い160万円,配当金支払い180万円,役員賞与10万円もあるから,1,670万円の借り入れをして,6月の収入と支出をバランスさせます。
借入金返済や,法人税等現金支払いなど,決算関係支払いなどができるようにします。
このような毎月の収入と支出を操作して,収支をバランスさせることが,資金繰りといわれるものですが,かような資金繰りのためにはどのような収入と支出が,それぞれどれだけあるかを示すもの,網羅的な一部制の資金繰表でなければならないわけです。
三部制の資金繰表前掲の資金繰表では,各月の収入支出とともに,終わりのところで,「合計」の収入支出,年次の収入支出も表示されています。
各月の収入支出の操作は,年次の収入支出に埋没して消滅しますから,年次収支計算書としては,一部制のものは無意味です。
年度資金繰表資金繰表でも,終わりのところで,諸収入,諸支出の合計が表示されています。
年度資金繰表も,一部制の資金繰表になっていますが,一部制の資金繰表では収支の状況が良好かどうかをみるのには不便です。
どんな企業でも,支払不能になるまでは,収入の合計と支出の合計はバランスしているわけですから,諸収入の合計と諸支出の合計とを対照表示するようにした一部制の資金繰表では,収支の状況の良否適否をつかみにくいわけです。
前掲の資金繰表も示すように,収入には売上収入をはじめとしていろいろな収入があり,また支出にも√材料代(商業の場合は商品代)支払いをはじめとしていろいろな支出がありますが,諸収支は,前にも説明したようにつぎの3つに分けることができます。
経常収支が収入超過になる場合には,経常収入(売上収入と営業外収益の収入)で,まず材料代,人件費など,費用支払いができ,またその入金(収入超過による入金)で,決算関係の支払いや固定資産代,財務関係の支払い(借入金返済)などができます。
これに反して,経常収支が支払超過になる場合には,経常収入では材料代などの費用支払いができませんから,ふつうは固定資産売却収入や借り入れなどの財務関係の収入などがないと,材料代など費用の支払いもできず,また決算関係の支払いもできません。
ですから,経常収支はふつうは収入超過になり,また収入超過になることが望ましいのです。
資金繰表でも収支を上の3つに分け,この3つの収支の状況を示すようにしますと,収支の状況の良否適否がみやすくなります。
こういった点から,三部制の資金繰表が便利です。
毎月の資金繰りのためには,網羅的な資金繰表が必要ですが,三部制の資金繰表でも,月々の資金繰りが総合的に読みとれるようになってきます。
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